食卓に旬の彩りを。栄養満点あじのおいしい食べ方と無駄なく使い切るコツ
旬の食材を取り入れることで、毎日の食卓はぐっと豊かになります。今回は、特に春から夏にかけて旬を迎える「あじ」に注目し、その魅力と、ご家庭で美味しく、そして無駄なくあじを味わうための方法をご紹介いたします。
旬のあじを選ぶメリット
あじは年間を通じて流通していますが、特に初夏から夏にかけて脂がのり、旨味が増す旬の時期を迎えます。この時期のあじは、身が引き締まり、風味も格別です。また、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)といった良質な不飽和脂肪酸を豊富に含み、お子様からご年配の方まで、ご家族皆様の健康維持に役立つ栄養素が期待できます。さらに、骨や歯を丈夫にするカルシウム、疲労回復に効果的なビタミンB群なども含まれており、旬の時期は比較的お手頃な価格で手に入るため、家計にも優しい食材と言えるでしょう。
あじの選び方と下処理のポイント
新鮮なあじを選ぶことは、美味しさの第一歩です。
選び方
- 目が澄んでいること: 黒目がはっきりとして、にごりがなく透明感のあるものを選びましょう。
- エラが鮮やかな赤色であること: エラ蓋を開けてみて、鮮やかな赤色をしているものが新鮮です。
- 身に張りがあること: 魚体全体に弾力があり、触るとしっかりとした感触があるものを選びましょう。
下処理のポイント
あじは比較的小さな魚で、ご家庭での調理もしやすい食材です。 スーパーでは開いてあるものや刺身用も販売されており、これらを活用すると下処理の手間が省けます。もし丸ごとのあじを購入した場合は、以下の手順で下処理を進めます。
- ウロコ取り: 魚の尾から頭に向かって包丁の背やウロコ取り器でウロコをこそげ落とします。
- ゼイゴの除去: 尾の付け根から、体側を走る硬いウロコ(ゼイゴ)を包丁でそぎ落とします。
- 内臓の除去: エラから包丁を入れ、腹を切り開き、内臓を取り除きます。お腹の中をきれいに水で洗い流し、キッチンペーパーで水分を拭き取ります。
三枚おろしは少し技術が必要ですが、開きの状態であれば、塩焼きやフライなどにすぐに使えて便利です。
家族が喜ぶあじの簡単レシピ
旬のあじを存分に味わえる、ご家庭で手軽に作れるレシピを3つご紹介します。
1. 基本のあじの塩焼き
あじ本来の旨味をシンプルに味わえる定番メニューです。
材料: * あじ(開いたもの、または三枚おろし): 2枚 * 塩: 適量 * 大根おろし、醤油: お好みで
作り方: 1. あじの表面の水分をキッチンペーパーでしっかりと拭き取ります。 2. あじの両面に軽く塩を振ります。10分ほど置き、表面に出てきた水分を再度拭き取ると、生臭みが和らぎます。 3. 魚焼きグリルまたはフライパンにクッキングシートを敷き、中火で両面を焼き色がつくまで焼きます。 4. お好みで大根おろしと醤油を添えてお召し上がりください。
2. サクサク!あじのフライ
お子様にも大人気の定番メニューです。
材料: * あじ(三枚おろし): 2枚 * 塩、こしょう: 少々 * 薄力粉: 適量 * 溶き卵: 1個分 * パン粉: 適量 * 揚げ油: 適量 * レモン、ソース: お好みで
作り方: 1. あじの水分を拭き取り、軽く塩こしょうを振ります。 2. 薄力粉、溶き卵、パン粉の順に衣をつけます。パン粉は軽く押さえるようにしっかりとつけましょう。 3. 揚げ油を170℃に熱し、あじをきつね色になるまで揚げます。片面3分程度が目安です。 4. 油をよく切り、お皿に盛り付けます。レモンを絞ったり、ソースをかけてお召し上がりください。
3. ご飯が進む!あじのたたき風(なめろう風)
新鮮な刺身用あじが手に入ったら、ぜひお試しください。
材料: * あじ(刺身用、または三枚おろし): 1尾分 * 長ねぎ: 5cm * しょうが: 1かけ * みょうが: 1個(お好みで) * 青じそ: 2〜3枚(お好みで) * 味噌: 小さじ1 * 醤油: 小さじ1/2 * 酒: 小さじ1/2
作り方: 1. あじの身は皮と骨を取り除き、細かく切ります。 2. 長ねぎ、しょうが、みょうが、青じそはみじん切りにします。 3. 切ったあじとみじん切りにした野菜、味噌、醤油、酒をボウルに入れ、包丁でたたくようにして混ぜ合わせます。粘りが出るまでしっかりと混ぜると、より美味しくなります。 4. 器に盛り付け、お好みで小ねぎなどを散らして完成です。ご飯に乗せて丼にしたり、お酒のお供にも最適です。
サステナブルな食卓のためのヒント
旬のあじを無駄なく使い切り、環境にも配慮した食生活を送るためのヒントをご紹介します。
賢い保存方法
- 冷蔵保存: 購入したあじは、鮮度が落ちやすいため、すぐに調理しない場合は内臓やウロコを取り除き、キッチンペーパーで水気を拭き取ってから、ラップでしっかりと包み、保存袋に入れて冷蔵庫のチルド室で保存します。当日または翌日には使い切りましょう。
- 冷凍保存: 数日中に使わない場合は冷凍がおすすめです。下処理を済ませたあじを1尾ずつラップで包み、さらに冷凍用保存袋に入れて空気を抜いて冷凍します。約2週間程度保存可能です。解凍は冷蔵庫で行い、半解凍の状態で調理すると風味を損ないにくいです。
食材を無駄にしない使い切りアイデア
- アラを活用した出汁: あじの頭や骨は、捨てずに「アラ汁」の出汁に活用できます。沸騰したお湯で軽く茹でてアクを取り除き、昆布などと一緒に煮出すと、風味豊かな出汁がとれます。この出汁で味噌汁を作れば、あじの栄養と旨味を余すことなく楽しめます。
- 残った身でふりかけ: 塩焼きなどで残ったあじの身は、ほぐしてフライパンで軽く炒り、醤油やみりん、ごまなどで味付けをすれば、ご飯に合う手作りのふりかけになります。
- 揚げ油の再利用: あじのフライなどで使用した揚げ油は、油こし器で濾して保存容器に入れ、炒め物などに再利用しましょう。ただし、魚の匂いが残る場合があるので、次に揚げる食材や炒め物の種類には注意が必要です。
エコな調理と購入のヒント
- 旬の食材を選ぶ: 旬の食材は、ハウス栽培などに比べてエネルギー消費が少なく、価格も安定しているため、環境負荷が低い傾向にあります。
- 必要な分だけ購入する: 買いすぎはフードロスの原因になります。ご家族の食べる量や、使い切れる量を考えて購入することが大切です。スーパーの少量パックや、夕方割引などを賢く利用するのも良い方法です。
旬のあじで食卓を豊かに
あじは、私たちの食卓に馴染み深く、栄養価も高く、手軽に手に入る素晴らしい食材です。旬のあじを上手に取り入れることで、ご家族の健康を守りながら、毎日の献立の幅を広げることができます。また、食材を大切に使い切る工夫は、食費の節約だけでなく、地球環境への貢献にもつながります。ぜひ、この機会に旬のあじを食卓に取り入れ、美味しさとサステナブルな喜びを実感してください。